たくさんの出会いが、子どもの心を豊かに育む。3人のママが語る、小高の子育て本音トーク!

たくさんの出会いが、子どもの心を豊かに育む。3人のママが語る、小高の子育て本音トーク!
左から、鈴木亜由美 さん、小林結さん、蒔田志保さん

2023年の「住みたい田舎ベストランキング 子育て世代部門」(宝島社)で福島県1位に選ばれた南相馬市。小高区では移住者や帰還者の増加に伴い、子どもの数が多くなっています。今回は、小高で子育てをしている3人のママにお集まりいただき、町の雰囲気や環境、子どもたちの将来のことからみなさんの子育て観まで、ざっくばらんなお話を伺いました。

小高は子どもを、お互いに”みてる”。

小高交流センターの「子育てサロン」で行われた座談会に集まってくださったのは、鈴木亜由美さん、小林結さん、蒔田志保さんの3名です。

——今日はお集まりいただきありがとうございます!まずは自己紹介をお願いします。

鈴木さん 小学5年生の息子がいる鈴木です。生まれも育ちも小高です。

小林さん 上が小学3年生、真ん中が4歳、一番下が2歳半の三姉妹の母の小林です。「富士タクシー」という会社を経営しています。もともと出身は新潟県で、避難指示解除のタイミングで小高に来て8年目になるかな。

蒔田さん 2歳半の息子がいる蒔田です。出身は愛知県で、結婚を機に小高へ移住して5年目になります。

南相馬市は今年、「住みたい田舎ベストランキング 子育て世代部門」(宝島社)において東北エリア2位・福島県1位に選ばれました。市は、幼児教育・保育料、学校給食の無償化や、家庭保育への支援金交付、18歳以下の医療費の無料化などの子育て支援を行っています。

鈴木さん そういうサポートもあって、移住する人も増えているのかも。

小林さん 来年は市内に待望の小児科も開設されるよね。

蒔田さん これまで小児科はなかったから、本当にありがたい…!

——-日常生活の中で、みなさんはどのような接点がありますか?

蒔田さん お2人のお子さんとは、小学校の「子ども教室」で一緒になる機会があります。

——-子ども教室ってどんなことをするんでしょうか?

鈴木さん 月2回、金曜日の放課後に希望する子どもたちが集まってみんなでスポーツしたり、工作したりするんです。

蒔田さん わたしはそこにサポート役の保護者として、たまに参加していて。

——-放課後にはそんな過ごし方があるんですね。お休みの日はどのように過ごしていらっしゃいますか?

鈴木さん 天気関係なく遊べるから交流センターによく来るかな。

小林さん 小高は遊び場が広々としていていいよね。

小高区には主に「小高交流センター」と「NIKOパーク」という2つの遊び場施設があります。

「小高交流センター」は、地域のにぎわいやコミュニティの拠点となる施設。遊び場の他にも、地場産品の小高マルシェや飲食店も併設されていて、だれでも気軽に利用できます。一方、「NIKOパーク」は、0歳から小学生までのお子さんを対象とした屋内型の遊び場。ここでは遊ぶ子どもたちを見守るプレイリーダーが常駐し、お子さんの年齢ごとに遊ぶエリアが分かれています。

鈴木さん NIKOパークはプレイリーダーの方が子どもと遊んでくれるから、親としては助かる場面も多いです!

蒔田さん あと、地域の遊び場では、小学校高学年の子たちが年下の子たちの面倒を見てあげてるよね。まわりの子たちと一緒に遊べるのもいいなと思っていて。遊び方を見て覚えたり、おにいちゃん・おねえちゃんに遊んでもらったり。だから、みんなが混ざって遊べる交流センターもいいよね!

鈴木さん 息子も、小さい子と遊ぶのは好きだな。小林さんの娘さんは幼稚園のころから見ているけど、妹さんが生まれてから急にお姉ちゃんらしくなったよね。

小林さん たしかにませてるかも。でもお姉ちゃんになったのは、表向きだけね。(笑)

蒔田さん 女の子は成長が早いよね。

——-みなさんは、お互いのお子さんのことをご存知なんですね。

お三方 知ってる!

鈴木さん みんなちっちゃい頃からね。

蒔田さん 「見ている」って感じ。直接遊ぶ機会は少なくても、お互いに子どもたちを幼稚園や学校、地域の中で見てきたよね。

「ご近所さん」の距離感で。家族でつながるお付き合い。

転園・転校してくる子どもたちも増えているそうです

小林さん おだか認定こども園にも、0歳から入園する子たちが増えたよね。

鈴木さん 小高区以外の地域から通っている子たちもいるみたい。私の弟家族も鹿島区に住んでいるけど、義妹の職場の都合もあって小高のこども園に通っているんだ。

蒔田さん こども園ができてから、その影響で小高小学校の児童の数も増えているみたい。

鈴木さん 息子のいる5年生は1学年9人だけど、1年生は20人くらいいるようだしね。

——-子どもたちが増える小高で、保護者さん同士はどのようにつながっていますか?

蒔田さん う~ん、「ママ・パパ友同士のつながり」っていうより、「ご近所さん」なのかも。その人が地域とどれくらい関わってるのかってことが、影響してくるんじゃないかな。

——-なるほど。

蒔田さん 子育ての先輩として2人に聞きたいんだけど、もし災害があったときとか、子育てに悩んだときとか、頼れるママっていますか?

小林さん なにか、悩んでるの?

蒔田さん 子育てしていると、もちろん不安になることあるじゃないですか。特にいまは息子の「トイトレ(トイレトレーニング)」で悩んでて。

鈴木さん そういうのって、幼稚園で同じクラスの子のことが気になるよね。

蒔田さん そう!育児本に書いてある目安とも比べてしまうんだよね。目の前のわが子を見ればいいんだけど…。

小林さん でもさ、やっぱりわたしも1人目の子どものときに焦ったんだけどね、娘のやる気とわたしのやる気が合うと、すぐにオムツ外れたの!なにかタイミングがあるんだと思う。

蒔田さん そうだったんだ!最近ちょっと進んだなって思ったんだけど、もしかしたらわたしと息子の気持ちが「合ってた」のかも。

鈴木さん 1人目のお子さんだから、余計不安になることもあるよね。

小林さんと鈴木さんのことを「なにかあったら話せる先輩ママだと思ってます。」と蒔田さん

——-普段から、こんな風に子育ての近況や不安をシェアする機会ってあるんでしょうか?

蒔田さん 人によっていろいろだよね。もちろん全員の保護者とこういう話ができるわけではないし。

鈴木さん でもこうして集まるのもいいよね。交流センターだったら、子どもたちも連れて来られるし。

そろばん、ダンス、馬のお世話!?小高の放課後事情。

「子どもって周りで習い事をしている子がいると、やりたいって言い出すよね。」という鈴木さんの言葉に2人とも大共感

——-小高小学校を卒業後は、そのまま小高中学校に進学する流れが普通なのでしょうか?

鈴木さん そうだね、中学3年生まではみんな小高で、高校から進路が分かれることが多いね。でも部活の種類は限られるから、やりたいことが明確にある子は外の中学校に行くこともあるかな。

小林さん 部活には入らずに、習い事をする子も多いよね。うちの上の子は鹿島でダンスを習っていて平日は週2回、送り迎えしてるよ。

鈴木さん 子どもが「やりたい」って自分からやる気をみせたことは、応援したいと思うよね。

小林さん 小高での習い事だと、そろばんとパソコンがメインになるのかな。

週末のダンス教室は仕事が被る場合も。教室内の親御さんたちと協力して子どもたちをサポートしている小林さん

蒔田さん 鈴木さんのお家は、なにか習い事する予定はあるの?

鈴木さん うちは馬を飼っていて、馬のお世話で精一杯だと思うな。(笑) 「自分の馬は自分で世話をする」という家の決まりで、息子は毎朝6時に起きて、学校に行く前と夕方に馬小屋を掃除していますよ。手にまめをつくりながら。

鈴木さんの家では、昔から相馬野馬追に出ていて、息子さんも3歳の頃に初陣を経験しているそうです。

鈴木さん 息子の、馬への情熱はすごいね。でも南相馬で馬を飼っている家自体はそこまで珍しくないというか。

息子さんは「趣味と特技が馬の世話」と言えるほど毎日真剣に自分の馬を世話していると語る鈴木さん

蒔田さん 「犬を飼う」までいかないかもしれないけど、そのくらい身近だったり?息子さんにとって馬のお世話は生活の一部なのかも。

——-さすが野馬追の里です。蒔田さんのお家はいかがでしょうか。

蒔田さん わたしは「なにかやってみない?」って押し付けないように気を付けたいかも。自分は子ども時代、毎日習い事に通っていたからたくさん習い事をするのが当たり前の感覚もあって。ただ、習い事の選択肢自体はもう少しあるとうれしいかな。

小高が持つ、“子どもを育てる力”とは。

お子さんたちの話で盛り上がるみなさん。小高の子どもたちへの愛情の深さが感じられました

——-みなさんが子育てをする中で感じる、小高の「いいところ」はなんですか?

小林さん 避難指示が解除されて小高に来たばかりの頃は、眠っていると家の外を歩く人の足音が聞こえるくらい静かな町だった。その時と比べると大人も子どもも増えて、小高の町も進化してきているよね。

鈴木さん 周りのみんなが子どもたちのことを知っていてくれるし、まちなかにいる子どもたちに声をかけ合えるのがいいところだと思うな。

小林さん もともと出身はこっちじゃないけど、小高が地元だと感じるくらいご近所さんも話しかけてくれるし、優しい。あと新潟は雪国なので、雪が少ないのも魅力です。

鈴木さん あったかいね、小高の人は。周囲の人とちょうどいい距離感で、自然とつながっていられる感じがあるよね。

小高にはあたたかい大人がたくさんいるので、子どもたちも人とつながる心が育まれていくのではないでしょうか

蒔田さん 「いい大人がいっぱいいる」っていうのも魅力かな。たとえば、子どもが「パソコンについて学びたい!」って思ったら「アオスバシの森山さんに聞いてみよう」、「馬に興味がある!」って思ったら「鈴木さんやホースバリューの神さんのところに行ってみよう」って言えるのはありがたいです。

蒔田さん 地元では隣に住む人の職業とか知らなかったけど、子どもが興味を持ったことに対して「あの人のところに聞きに行けばいいよ」って言ってあげられることが、小高で子育てをする魅力のひとつだと思います。

——-最後に、もちろん大変な場面も多いと思うのですが、子育てをしていて楽しいと感じるのはどんな時でしょうか?

鈴木さん 発表会とかで成長を見られるのが特に楽しいです。「こんなこともできるようになってる!」って気が付く瞬間かな。

小林さん 仕事と子どもたちのことでいっぱいで、自分の時間はほぼ取れないけれど、なかなか楽しいよ毎日。なんとかなるんです。子どもたちは勝手に大きくなっていっちゃう感じもするし。

蒔田さん いちいち可愛いんだよね!その姿を見ることが楽しみかな。

鈴木さん すぐ成長しちゃうよ、びっくりするほどあっという間だからね!?

——-本日はありがとうございました!小高で自分らしく、子育てに向き合うみなさんの姿が、育児中の多くの人を勇気づけてくれると思います。

みなさんお子さんのお話をする時は、常に笑顔。我が子を、そして地域の子どもを大切に想い、見守るお三方のような人が多いことが、小高で子育てをする最大の魅力ではないでしょうか。お互いの話を聴きあい、励ましあい、笑いあうみなさんの姿に、小高の子育てコミュニティのやさしさや心地よさが表れていました。