体を動かす気持ちよさ、
人とつながる楽しさ。
OWCで思いっきりエンジョイしよう!

体を動かす気持ちよさ、<br>人とつながる楽しさ。<br>OWCで思いっきりエンジョイしよう!

突然ですが、みなさんはどれくらいの頻度で運動をしますか?また、その場所は?小高区には週に1度、運動をしたい人が集まって活動をするコミュニティがあります。その名は「OWC(小高ワークアウトクラブ)」。クラブを主催するのは、小高区に暮らす只野福太郎さんです。活動のうわさが人を呼び、毎週木曜日の夜にはさまざまな方たちがふらりと小高体育センターにやってきます。今回は、参加者のみなさんが思い思いに体を動かし、OWCならではのつながりが生まれる楽しいひとときにお邪魔しました。

ピックルボールに魅せられて、広がりはじめた人々の輪。

木曜日の18時30分ころ。クラブの活動拠点である小高体育センターに仕事終わりの只野さんがやってきました。

——こんばんは!よろしくお願いします。

只野さん よろしくお願いします。

19時の活動開始の前にインタビューに応じてくれた只野さん

——今日はどんな種目をするんですか?

只野さん ピックルボールとフットサルです。フットサルは毎週、ピックルボールには隔週で取り組んでいて、今日は両方プレーできる日なんです。

ピックルボールとは、アメリカ発祥のラケットスポーツ。準備の手軽さや、ルールが簡単なことから初心者でもすぐに楽しむことができ、近年日本でも人気が高まっているそうです。

ピックルボールは、バトミントンのコートとネットを使い、ダブルスまたはシングルスで試合を行います
ラケットは大きな卓球ラケットのような形をしていて、軽いのが特徴

——楽しそうなスポーツですが、なぜOWCで取り組むことになったのですか?

只野さん もともと、小高区では卓球が人気で、競技人口が多いんです。

——確かに昔から小高区では地域全体で、卓球への取り組みが盛んだったと聞いたことがあります。そんな“地域のスポーツ”、のようなイメージでしょうか。

只野さん そうです。ピックルボールという競技は僕と友人がたまたま興味を持って、そのころはまだ仲間内だけで体育館で遊んでいたんですけど、「浮舟うきうきクラブ」(※)の方たちが興味を持ってくれて。

※浮舟うきうきクラブ…小高区の総合型地域スポーツクラブ

——そこで声をかけられたのですね。

ルールや動きがシンプルなため、得点を重ねるポイントは「ミスをしないこと」

只野さん はい。浮舟うきうきクラブは、月に1回レクリエーションを行っているそうなんですが、マンネリ化していたみたいで。試しにピックルボールにチャレンジしてみることになったら、小学生からお年寄りまで50人近くもの人たちが集まってくれたんです。

——すごいですね!新しい競技そのものへの関心や、プレーのしやすさもあったと思うのですが、一緒に運動をすることへのみなさんのモチベーションが高かったということですね。 

只野さん 体験をきっかけにハマってくれる人が結構多くて。浮舟うきうきクラブでピックルボールにチャレンジした2023年当時、日本のピックルボールの競技人口は5,000人程度と言われていたのですが、その1%を小高区で押し上げていたと思うと、勢いを感じます!

「ピックルボールにもフットサルにも参加する予定です」とシューズの紐をしっかり結ぶ只野さん

お話を聞いていると、まもなく開始時間。参加者が続々と体育館に集まりはじめました。この日、ピックルボールに参加した最年少は、お母さんと一緒に訪れた4歳の男の子。地域内外、年齢や性別を問わず多くの人を集めるスポーツです。

OWCは、「エンジョイ」でつながるコミュニティ。

現在、ピックルボールとフットサルをプレーするために、多い日は20人程の参加者が集まるそう。そもそも只野さんがこの活動を始めたのには、どんな背景があったのでしょう。

只野さん 僕はもともと就職をきっかけに関東から小高区へ移住したのですが、ここでの生活の快適さ故に、“移住太り”ってやつでしょうか(笑)。普通に体を絞りたいと思ったことがきっかけでした。2週間に1回程度のフットサルの活動から始まり、徐々に地域のサッカー経験者の方たちが集まってくれるようになったんです。

——参加者が多くなると、活動は盛り上がっていきますよね。ちなみに、「OWC」という名前はどのようにして決まったのですか?

只野さん 僕の職場が株式会社OWB(旧 株式会社小高ワーカーズベース)という会社で、その仕事以外の時間にワークアウト(=運動・トレーニング)を行うところ、ということでOWCと名付けました。最初は、数人で集まって筋トレをする仲間内のチームだったんです。

筋トレをしていた頃は「OWC専用タンクトップ」も作ったそうです

当初は少人数の活動から始まり、今ではピックルボール、フットサルともに気持ちよく体を動かしたい人たちが集まるというOWCですが、常に「エンジョイ」が目的であると、只野さんは語ります。

只野さん ガチガチに頑張って活動するというよりも「楽しみながら」という空気感です。いつ来てもいいし、来なくてもいい。名乗ることもないので、実は僕は、毎回参加している方の半分以上の名前が分かりません!

——そうなんですね(笑)。パスを出すとき大変じゃないですか?

只野さん もう、勢いやアイコンタクトで(笑)。そして、そんなゆるいつながり方が、とてもいいと思っています。正式にクラブ活動にしたり、出席をとったりすると息苦しくなるし、気軽に来られるコミュニティではなくなってしまうので。

参加人数にもよるものの、フットサルはほぼ皆さん動きっぱなしだそうです

OWCの活動では、「しばらく行かなかったから、次回参加しにくくなるみたいなことを避けたい」と語る只野さん。どんな思いが活動の原動力になっているのでしょうか。

只野さん 単純に、僕が楽しくなりたいから主催しているんです。大勢の人と一緒に何かをするのが好きなので。あとは、いろんな人が活躍できる場があるといいなと思っていて。

——活躍できる場、ですか。

只野さん たとえばですが、職場で上司・部下の関係にある人たちでも、ここに来ると、それぞれが一気に自分の得意なポジションで主役に躍り出る、みたいな。職場とか学校だけじゃないコミュニティがあることで、人はより、いい感じにつながれるんじゃないかと思っています。

その日初めて会った人同士が、全力プレーで楽しむのがOWC流

それぞれの楽しみ方が共存する時間。

参加者のみなさんは、毎週どんな思いで活動しているのでしょうか。お話を伺いました。

——今日はどちらからいらっしゃいましたか?

「浪江町からです。もともとフットサルもやっていたのですが、ピックルボールを始めたらハマってしまいまして。手軽にできるスポーツで、仕事終わりに楽しんでいます」

——ほかのスポーツクラブやジムに行く、という選択肢もあると思うのですが、OWCに参加される理由はなんですか?

「OWCは、より人が集まるので、ピックルボールでもたくさんの人と対戦できるのがいいですね。また、私は、福島県の中通りから移住してきました。OWCはスポーツを楽しむだけでなく、地域の方たちとの会話を通して、相双地区の文化を知る機会になっていてありがたいですよ」

——ありがとうございます、運動だけではなく会話や交流そのものを楽しんでいらっしゃるのですね。

続いてはフットサルの合間に、みなさんにお話を伺いました。

——お疲れのところ失礼します!みなさん、ご一緒に楽しんでいるようですが、もともとお知り合いですか?

「職場の先輩と後輩です。先輩に誘ってもらって参加し始めました。同じ会社でも毎日通う職場は異なるので、顔を合わせるのは仕事よりもOWCでの方が多いですね(笑)」

——OWCの良さは、どんな部分でしょうか?

「市内にもいろんなフットサルチームがありますが、やっぱり、初心者からベテランまでどんな人も気軽に参加できる、敷居が低いところじゃないですかね」

——ありがとうございます。続いて、その先輩にお話を伺います。ご自身が最初にOWCに参加したきっかけはなんですか?

「フットサルをするためです!毎回メンバーが入れ替わりますが、僕は毎週通っています。職場の後輩ともですし、ここで初めて会った人ともプレーを楽しめるのがいいですね」

——OWCの中で新たにできるつながりもあれば、元々の知り合いと一緒にスポーツを楽しむケースもあるのですね!ありがとうございます。

なかには、フットサル好きのお父さんが学生の息子さんと、一緒に参加されていることも。

「父と一緒にフットサルをしていた同僚の方から、僕も誘ってもらったことがきっかけで。みんなが参加しやすくて楽しそうな場だと思って来ました。最初はピックルボールもしましたし、今回はフットサルにも挑戦です」

——お父さまは、結構激しくフットサルをプレーされていましたね!

「やっぱり、こうして人と集まって運動するって気持ちがいいよね。一生懸命活動して、終わってみると1日の終わりに達成感があります」

——みなさん、とても清々しい笑顔をしていたのが印象的でした。活動の合間にありがとうございました!

自分たちが楽しむことで、地域も変わっていく。

多くの方が自分らしさを出しながら、居合わせた人と楽しい時間を過ごすOWC。そんなコミュニティを運営する中で、最も楽しいのはどんな瞬間か、改めて只野さんに伺いました。

只野さん 一番は、月並みもしれませんがOWCに来た人同士がつながった時ですかね。たとえば高校時代のサッカー部の顧問の先生と生徒が再会することもあったんです。

——そんな嬉しい偶然が起こるんですね。

只野さん 普段、職場や学校など、集まる目的がガチっと決まっている場所だと生まれないような出会いやつながりが偶発的に発生する、みたいな瞬間に立ち合うと、やっていてよかったなと思いますね。

「点を入れるなど、シンプルな成功体験を積んでリフレッシュする」のもOWCの魅力だと只野さん

——この地域で活動を続ける上で只野さんが大切にしていきたいことを教えてください。

只野さん 浜通りで暮らしていて、たとえば「何か足りないな、楽しいことないかな」と思ったら、まずは自分で動き出すってことですね。それをみんながやれば、少しずつ変わっていくと思います。

——思い描いた「みんなが楽しめること」を、これからも実践していくということですか。

只野さん そうですね。たとえばOWCのような、みんながスポーツする習慣や文化を先につくってしまう。するとそこから「もっとこうしたい」という願いや工夫が生まれて、もっと楽しいことが実現するんじゃないかと思います。あと、最も大切なのは、僕自身の健康を保つことです(笑)。

地域のさまざまなコミュニティの中でも、一人ひとりが自分らしく「エンジョイ」することを何よりも大切にするOWC。お互いの名前を知らずとも、一緒に体を動かして楽しい時間を共有できる、程よい距離感の“居場所“がある安心感が、豊かで心地よい毎日を形づくっているようでした。